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写真集「Thanaka」

2,800円

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2013年6月発行(日本図書館協会 選定図書) 上製本/写真79点 サイズ:200 x 225 x 16 mm ISBN: 978-4887731394 ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー 本書は2005年から2012年に主にシャン州のインレー湖周辺で撮影した写真で構成している。ミャンマーは2012年ごろから軍事政権から民政移管が始まり激動の時代を迎えた。軍事政権下で静かな暮らす彼らと彼らを取り巻く環境に魅せられ撮影した写真。 今、改めて写真集を観ると民主化に伴う経済発展で大きく変わりつつある社会環境と比較してミャンマーの人たちの変わらない魅力を感じることができる。 ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー Thanaka/タナカとは、ミャンマーで主に女性や子供が頬や額に塗る化粧品のようなもの。東南アジアの強い陽射しから肌を守る効果があるという。柑橘系の木の樹皮を、水をたらした石板の上でこすり、ペースト状にして肌に塗る。鏡を見ながら丁寧に塗ったり、型紙を使い木の葉などの凝った模様を描く若い女性もいる。Thanakaはミャンマーを象徴する文化だ。 私が訪れているインレー湖は、一部の地域で電気は普及し始めているもののガスも水道も無い不自由な生活をしながらも、日々の徳を積むことを人生の目標とする敬虔な仏教徒として彼らは暮らしている。ある日、市場で私が仲間とはぐれてしまい、道に迷っていたとき、彼らが心配そうに声をかけてきて、親切にも歩き回って仲間を見つけてくれた。仏教でいう利他心とでもいうのだろうか、見知らぬ旅行者にも彼らは思いやりがある。日本人が繁栄の中に置き去りにしてきたものがここにはあると思えた。 彼らの気質は、自己主張より周囲と協調を優先する傾向があり、深く根ざした仏教と共に精霊ナッなど土着信仰も広く人々の生活に結びついている宗教観など日本人と近い部分が多い。特にインレー湖周辺は容姿も日本人に似た人が多く湖畔に広がる田園風景を観ていると少し前の日本の景色を思い出させる。 ファインダー越しに真っ直ぐレンズを見つめ返す彼らの姿に私はフォーカスを合わせる手が止まりそうになるときがある。静かに佇む彼らは、物にあふれた日常が当たり前としてきた我々にはない生命力がある。やや気後れし、戸惑いを打ち消すように私は息を潜めてファインダーを凝視しながらシャッターを切った。 何度か訪れているうちに彼らと話すようになり、十分な医療や教育が得られず、病気や貧困に苦しむ彼らの厳しい現実を知ることになるが、それでも彼らはより良い来世を信じ、つつましく一日一日を懸命に生きている。 昨今、ミャンマーは軍事政権から民主化へと急速に動き始め、この先市場開放路線のもと都市部から開発が進んでいくのだろう。私は時間と利益追求に追われる日本の東京という都市で生きているが、欧米型消費社会を目指す環境の変化が彼らの生活に影響を与え、気質に変化が訪れ始めているように思る。 この作品はインレー湖周辺で彼らの姿や彼らの暮らし、彼らに流れる時間をモノトーンで表現するドキュメンタリーだ。 「Thanaka」は銀塩モノクロプリントで表現する事が、私の美意識に添う最も大切で有り美しい表現方法だと考えている。

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